第5話・道北湯煙温泉~死闘編~

 今回は昨年の5月に行った学芸員課程の道北見学研修でのお話。超ハードスケジュールで行く網走への2泊3日の死の旅!そこで、ラビとみっつに振りかかる恐るべき災難とは!?では、本編の開始です!
                              
                              
 時は、5月某日金曜日の朝8時半。所は、大学の中央棟前。
 普通の学生にとっては、普段通りの金曜の朝だったろう。だが、バスを待つみっつは、ギロチンの前に引きずられて行く囚人の気分だった。
 なぜなら、みっつは極度の乗り物酔いをするのであり、網走までバスで行くなんてのは、
 「あんたは、いらない人間だから死んでしまいなさい!この泥棒猫!」
 と、死刑宣告を受けたようなもので、しかも2泊3日の旅の中で合計9館もの博物館を巡る狂気のスケジュールだった。
 しかも、ここ最近はみっつにしては珍しく多忙を極めており、すでに身も心もボロボロだった。そこに、みっつに負けない位の瀕死のラビがやって来た。
 ラビ 「おはよう・・・。」
 みっつ 「よう。お疲れだな?」
 ラビ 「さっきまで、バイトだった・・・。」
 この当時、この両者は深夜のコンビニでバイトをしていた。運悪く、ラビは旅行前日がバイトだったようだ。逆に、みっつは帰って来た日がバイトだった。更に・・・。
 ラビ 「こないだも言ったけど、明日って俺の誕生日なんだよね。」
 そうなのである!この不運な男は、この旅行中に21歳の誕生日を迎えてしまうのである。まさに、普段の行いの結果である。国際紛争を黙認している神様も、この外道だけは見逃さなかったようである。ブラボー!
 そんな内に出発の時間が来て、2人はバスに乗り込み、バスは一路旭川に向かって発車した。
                             
 さて、バスも無事に出発した所で、今回の旅行の参加者についての軽い説明を一つ。まず、全体の人数は30人程で、その中でも文化学部の学生が圧倒的に多く、約8割を占めていた。法学部は、わずかに5人で、しかも3年生はラビとみっつの2人のみ!引率者は、ご存知文化学部の支配者・白髭とその直属の部下であるK助教授であった。では、話を本編に戻すとしよう。
                             
 最初の目的地である旭川の博物館に到着した時には、当初は雑談していた2人は座席で寝ていた。この雑談と睡眠を繰り返す事が、この旅での2人の基本スタイルになっていくことになる・・・。
 とりあえず、見学に行く一行だが、まだ寝けてる2人にとって時間はあっという間に経過し、いつのまにか昼飯の時間になった。
 昼飯は、配られた弁当を3人で食べた。3人というのは、ラビとみっつに文化学部3年の池という男を合わせた3人である。
 この池とは、一言で称すると[みっつの昔の悪友]である。みっつとは小学校から中学校卒業まで、ほぼクラスメートという腐れ縁の男で、その間にみっつを散々イジメてた極悪人である!高校でやっと離れたのに、大学で一緒になってしまい学芸員の見学ではラビを合わせた3人で行動するのがほとんどであった。これまでは、あえて割愛(みっつにとっては不快な男なので)してたのだが、今回は話に微妙に絡むので登場させます。ふぅ・・・。
                             
 池 「ふぅ、食べ終わったなぁ。」
 みっつ 「そうだね~。」
 と、弁当も食べ終わり、お茶を飲みくつろぐ3人の方にK助教授がやって来た。
 K助教授 「君達、もう食べ終わったの?流石に、若いから早いねぇ。実は、お弁当が1個余ってるから、3人で食べてくれない?」
 3人 「えぇ~!(声を揃えて)」
 K助教授 「そんなに、喜ばなくてもいいから。じゃ、置いて行くね。」
 ほんとに、弁当を置いてK助教授は去って行ったが、3人は呆然と佇んでいた。仕方ないので食べることにしたが、こういう局面でこそ(のみ)本領を発揮するのがラビという男である。
 みっつ 「ほら、池!美味そうだぞ~!食べな、食べな。」
 池 「うるせ~よ!お前が、食え!」
 ラビは、2人が譲り合ってる内にも黙々と食べ続け、ほぼ1人で完食してしまった!流石は、胃袋が四次元ポケットに直結してると言われるだけのことはある!
                              
 その日は、旭川市内の博物館を3館回ってから、旅館へと到着したの。そして、幸運な(?)ことに部屋割りは、昼飯時に一緒だった3人が同室だった。そして・・・。
 ラビ 「ようよう、荷物も置いたし、夕飯までの間に散歩に行かない?」
 池 「マジで?俺は、いいけどみっつはどうする?」
 みっつ 「ここに1人でいても仕方ないから、当然行くよ。」
 結局、3人で散歩に行ったが、時期が晩春だったこともあり、景色はイマイチな上に見晴らしの良さそうな近くの山も立ち入り禁止だったので、3人はやることもないので、すぐに旅館へと戻って来てしまった。
 そして、夕食の会場で3人を待ち構えていたのは、白髭とK助教授の正面という[逆特等席]だった。
 池 「や、やられた!くっそ!」
 みっつ 「あの髭を見ながら、飯食いたくね~よ!」
 しかも、当然のように夕食と一緒にビールが運ばれてきた。
 みっつ 「酒かよ!?まだ、初日だぜ!」
 ラビ 「まぁまぁ、楽しく飲もうぜ~。」
 池 「おう、気が利いてるよな。」
 みっつ 「このアル中どもが!」
 乗り物酔いする上に、酒にもよく酔うみっつは、この状況に畏怖を感じていたが、粗野で繊細さの欠片もない2人は上機嫌でコップを回していた。
 そして、宴が始まった・・・。

 さて、第5話どうだったでしょう?今回は1日目の夕食時までなのですが、次回は急転直下で崩壊へと話は突き進んで行きます!
 という訳で、次回の第6話「道北湯煙温泉~地獄編~」にご期待下さい!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ


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